2017/3/28

おすすめ本

「きみは赤ちゃん」を読みました

川上未映子さんが35歳ではじめて出産された際のエッセイ「きみは赤ちゃん」を読みました。
川上さん独自のええあんばいの文章で、おもしろおかしく、時にしみじみ、時に号泣・・・の本でした。

「きみは赤ちゃん」は、Webで連載されていました。
http://hon.bunshun.jp/category/kimiwa-akachan
この連載を知った時、私は第二子を産んで睡眠不足最高潮の頃で、本を読む暇も余裕も全くありませんでした。
結局、「きみは赤ちゃん」もその時に一度読んだきりだったのですが、少し子育ても落ち着いた今、そうそう、未映子さんの出産本、、と思い出して読みました。

下記、ネタバレありです。

当時のまず第一の感想は、あれ?未映子さん離婚しはって、新しい旦那さんいてるの?ほんで、妊娠しはったん??でした。
本でも離婚を公表していなかったので、世間に混乱され以前の旦那さんに迷惑がかからないようにと配慮されたことなども書かれてありました。

出産編では、妊娠がわかった頃からつわりや出生前検査、無痛出産の選択、夫婦の危機、マタニティブルー体調の変化、などなど、出産までの経緯が書かれてあります。
ネガティブ・ネイティブだと自負されている未映子さんが悩まれたあんなことやこんなことが事細かに書かれているわけですが、改めて自分の経験を重ね「ああそうだったなあーあの頃」と涙目になる自分がいるのでした。

妊娠を待つ間の、「フライング検査」に翻弄される様などは、妊活あるあるですねー。

一日がとても長くて、夏なのに腹巻&ぶあつい靴下をはき、体温を測りつづける1ヶ月が、なんだか半年にも1年にも感じられるのだった。

クリフム夫律子マタニティクリニックで出生前検査を受診されたお話は、高齢出産を経験した私にとっても感慨深いものでした。
このお腹の子を無事に健康に産むことができるかどうか、その保証はどこにもないわけで、少しでもお墨付きをもらいたい、という気持ちは高齢出産ならではだと思います。

でも、少なくともわたしは出生前検査をした時点で、「きみよ、生まれてこい、わたしがありのままで受け止める」という態度はとらなかったんだな、ということは事実だった。

そしてマタニティブルー。切実な文章が続きます。
作家でありパートナーの阿部和重さんのことを、最初は「あべちゃん」と読んでいたのに、険悪な時期の章では「あべ」と呼び捨てにしているところ、笑ってはいけないのかもしれないけど笑えました。

無痛出産は私も興味があったのですが、近くにない&高い、ということで選択の余地はありませんでした。
未映子さんの産院でも、やはり高額な出産費。それに無痛を選択すれば痛みゼロで万事OK!とはならないのが出産なんだな・・・と思わせる壮絶な出産談でした。

産後編では、母乳育児や離乳食、産後クライシスによる夫婦の危機(再び)、シッターさんや保育園のこと、仕事か育児かの罪悪感、などなど、1歳になるまでの日々が綴られています。

完母になると、母親が1日中授乳するしかないわけで、そりゃ睡眠不足になりますよねー。
新生児は2時間起きの授乳ですが、授乳には30分近くかかり、そして完全に寝付くまではまた時間がかかるので、実際に自分も休めるのは30分〜1時間程度だと思います・・・。

ただ、もう、うらやましいのである。それがあべであろうがなかろうが、眠れている人がうらやましいのである。

めっちゃわかります・・・。なんでこんなに泣いてるのに寝れるねん、と何度暗闇の中で毒づいたことでしょうか。
寝てない上に諸処の家事や仕事、そりゃ体もちませんわ。私も二人目の時には似たような状況であったので、すごく共感しました。
いや、でも、一人目の時も、仕事もしてないし上の子いないから家事も適当だったけど、やっぱり寝れないのはしんどかったなあー。

育児を優先するか、仕事を優先するか。
預けることへの罪悪感、わかります、わかります。
こんなに小さい子供と離れるなんて、仕事をつづけることが正解なのかどうなのか、でも今にしかできない仕事があるんじゃないか。。
そしてこの悩み自体が、そもそも幸せなことなんじゃないか、何いってるの、と堂々巡り。
でも意外と当の子供は、保育園でエンジョイしてるんですよね・・・。
未映子さんは当初シッターさんを利用されていたそうですが、その額が月に25万!!驚愕です。
金額の面でも、育児と仕事のバランスを考えてしまうのも、庶民であろうが人気作家であろうが同じなんだなあと思いました。

数々のトピックの中でも、お子さんに対する思いが溢れ出ていて、その優しい母の眼差しに、涙がほろっと出てしまうのです。
我が家にも、もう赤ちゃんはいません。(赤ちゃんみたいな子供はいるけれど。。)
あの、ふにふにで柔らかい手足の、首がぐらぐらの、あの感触を、あのミルクの匂いを、この腕の中の感覚を思い出したような、そんな心が温まる本でした。

妊娠・出産・育児は、環境や体質、感受性などでずいぶん大変さも大変と思うポイントも違ってくると思います。
なので、「参考になった」という人もいれば「参考にならなかった」と酷評する人もいるでしょう。
それは出産の経験談にかかわらず、子供の教育論や女性の働き方論にも通じるような気がします。
過酷なご経験を読んで「私はこんな思いをするなら産みたくない」とか、そんな受け止め方する必要ないと思うんです。
こんな人もいるんやなあ、ここはわかるけど、こういうことはなかったなあ、と、気負わず、気楽に読めば楽しいエッセイ本です。
時々出てくる「あべ(呼び捨て)」でいつも笑いが止まりません!
阿部和重さんが綴る、「君は赤ちゃん」も読んでみたいなあー!

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