「劇場」を読みました
TAG : 小説
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新潮に載った又吉直樹「劇場」をようやく読みました。
冒頭の5行がいきなりいいです。
売れない劇団「おろか」の脚本・演出の永田、服飾の大学に通う沙希、二人の何年かのお話。
下記、ネタバレありますのでこれから読まれる方はスルーしていただければと思います。
感想
20代、自分の理想と現実の力量の差に傷つくことは、男女問わずあると思う。
主人公の永田は、自意識過剰なのに自信がなく、攻撃的なのに気が弱く、人に嫌われてもいいと諦めているのに批評を気にする。
屈折した自分を受け止めてくれるのは、歪みのない沙希だけだと胡座をかいている。
沙希が緩やかに歪んでいくのを気付かない、おろかさ。
永田が周りに見せる理不尽な言動。嫌悪感とともに、我が身にも鈍く思い当たる。そんな自分に永田の言葉が気付かせる。
「俺は見た奴が不愉快になる可能性も含んだ舞台、読んだ奴が憎悪して激昂する自画像みたいな文章書くわ」
沙希が主演した「おろか」の公演は好評となる。
あの脚本のように、この物語の最後は劇的なのか、または平凡なのか。
小説に母娘のエピソードが出てくると、自分の過去を振り返るより、娘の将来を案じることが増えた。
仕送りしているマンションに転がり込む収入のない男、心配しない親がいるだろうか。
それでも永田の分まで食べ物を送り続ける沙希のお母さん、ほんま泣けるで。。。
永田の一人称で物語が進むので、沙希の心の移り変わりは、増えたお酒の量や、いくつかのセリフでしか説明されていない。
女ならわかるけど、男もちゃんとわかるのかなあー、と思ったりした。
当の永田はまったくわかっていない。
きっと本作も映像化されると思いますが、永田は柄本佑、沙希は満島ひかりでいかがでしょうか?!(妄想です)
青山は、安藤サクラがええなあー。夫婦バトルを見てみたい!!
kunugi design
大阪府在住、フリーランスのWebデザイナー kunugi designと申します。
Webデザイン歴20数年。読書・映画・音楽・お笑い好き。趣味はミシンで服作り。2人の女児を育てる母親です。
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